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「長野県子どもを性被害から守るための条例(仮称)骨子(案)」に意見を送りました

パブリックコメント的なことをしました。

これです↓

「長野県子どもを性被害から守るための条例(仮称)骨子(案)」へのご意見を募集します/長野県

 

長野県は全国で唯一、青少年健全育成条例のようなものがない自治体で、これまでは住民運動(県民運動と呼ぶ)や関連する事業者の自主規制、あとは啓発活動などで青少年の健全育成をやっていました。ちなみにこういった条例が扱うのは、「18歳未満への淫行は処罰の対象ですよ」とか「深夜外出はダメですよ。店とかも注意しろよ」とか「有害図書ダメですよ」とか、そういった内容。

 

条例は作らず地域ぐるみで取り組むこととしてやってきた、長野県の青少年健全育成。これは素晴らしいことだと思いますし、実際に有害自販機を減らす働きかけなどでは、成果を挙げてきたそうです。しばらく空き家だったところを借りている我が家の玄関にも貼ってあります、「有害自販機NO宣言!!」のステッカー。

 

ですが時代の移り変わりもあり、ネット経由で悪い大人と知り合いになった子どもが性暴力の被害に遭うなど、従来のやり方では対処できない問題が増えてきた…というのが上の条例を作る動きに。特徴的なのは、健全育成という言葉を使わず、また有害図書規定などは設けず、子どもの性被害防止に焦点を当てた内容だということです。

 

条例の制定の是非ついては、微妙に揉めています(理由はいくつかあるけど省略)。私自身は条例をつくることについてはほぼ賛成なので、是非を問うような意見は書きませんでした。言いたいことは書ききったので、送った内容をそのまま掲載します。

 

私は、県内在住で子どもの頃に性被害に遭った経験のある当事者です。条例制定については概ね賛成していますが、「性被害」という言葉の使用について意見いたします。

 

「性被害」という表現は、子どもが身体的・精神的に被害を受ける状況において、必ずしも暴力が伴わないケースも存在することから、「性暴力被害」という言葉では実態を正確に捉えきれないということで、慎重に選ばれた言葉なのだろうと推察しています。英語圏では「sexual abuse(性的虐待)」という語が一般的ですが、日本において性的虐待と言った場合には、一部の特殊な家庭内で起こるレイプ等の児童虐待を想像されることが大半です。性的虐待=強い者が弱い者へ力関係を濫用して行う性的行為である、という意味が広く一般に共有されていない以上、性被害という表現を採ることはやむを得ないとは思っています。

 

ですが、今後設置が検討されている「性被害者のためのワンストップ支援センター」など、被害者支援の施策においては、「性被害」という言葉の使用を今一度、慎重に議論して頂きたいです。特に「性被害者」という表現は、ともすれば被害者の性そのものが毀損されたような印象を与えかねません。また、性暴力という、力関係を濫用した暴力と権利侵害により被害が生じているという事実を、曖昧なものにするのではと感じています。

 

性暴力被害者のワンストップ支援センターは、条例の関連施策として設置が進められていくのでしょうし、そのこと自体に異存はありません。ですが、条例との関連を示すために字句を揃えるように、「性被害」「性被害者」という言葉を何の検証も無く使用することはやめて頂きたいのです。性暴力被害者の支援は条例制定を補強する材料ではなく、真に被害者の助けや支えとなるものであるべきです。少しの言葉の違いではありますが、言葉により人の意識や理解は変わるものです。全国のワンストップ支援センターが「性暴力」という言葉を使用するのも、名称が持つ啓発の意味合いを重視しているからではないでしょうか。

 

私は子ども若者支援の活動にも参加しており、知事や関係部局の皆様が子どもの支援に関心を寄せ、当事者を思いご尽力されている様子も見てきました。ですからどうか、被害を受けた当事者の視点に立った政策の展開をお願い致します。

 

 

過去に何度か、そして子どもの頃にも性暴力の被害に遭ったことがある者として、「性被害」「性被害者」という表現がどうしても引っ掛かりました。適当に「欧米では~」みたいな話もしていますが(いや一応CNNとかロイターのサイトを日本語と英語で検索したり、CiNiiで論文検索して表記の違いを眺めたりしてみました)、ハッキリしたことが言えないので、慎重に議論してほしいという書き方にしました。パブコメとして効き目のある内容なのか微妙なところですが、自分の気持ちとして書かずにいられなかったのです。

 

力関係の差を用いて不当にだれかを利用(それは精神的にも肉体的にも)することは暴力だと思うんですけどね。そこに殴る蹴るが介在しなくても。DVだってバイオレンスという言葉が入っていて、恫喝や交友関係の制限や経済的な制限もDVなんですよというのは知られてきているはずだけど、略語にしちゃうとバイオレンスが忘れられやすいのか、暴力と関連付けしにくくなっている気がします。

 

ほんとは暴力だし、虐待だよ。字面や響きがどギツくなくて使いやすい言葉は、行為の持つ暴力性や不当さを薄める。それは嫌だな、と思っています。